食の分野
短大
栄養学科
[栄養士養成課程]
5月9日(木曜)、株式会社ヤクルトより講師をお招きして、大学食物学科と短大栄養学科の1年生を対象に、初年次教育の「1年次セミナー」の授業として、講義を受けました。
株式会社ヤクルト本社西日本支店で勤務される管理栄養士の横手美和氏が、「人の健康と腸内環境の関わり〜乳酸菌の新たな可能性〜」と題して、腸内細菌の働きの基礎から腸内細菌のスポーツ栄養や臨床現場での活用についての内容を、ヤクルトが積み重ねてきた研究の歴史を紐解きながら、わかりやすく丁寧にお話いただきました。
腸は栄養素を体内に取り入れる器官です。食べ物だけでなく、病原菌なども体内に入り込んでくるので、常にリスクにさらされています。従って腸は体の中にあるけれど外部とつながっているので「内なる外」とも言えます。そのために、腸は外からの攻撃を守るためのバリア機能(免疫)が張りめぐらされていることを説明されました。
さらに、スポーツや手術で免疫力が低下しやすい時に、乳酸菌やビフィズス菌を補給することで腸内細菌(腸内フローラ)を維持し、良好な経過をたどることができることを科学的根拠に基づいて解説いただきました。
さらに、腸の具合を知る手がかりは便にあることをお話しする時のために、自分のウンチを持っています!とお話しされて、学生は驚いた様子でしたが、子ども達を対象とした講座でも活用するウンチの模型を紹介され、学生は愛くるしい似顔絵が描かれた模型を手に取りながら、理想的なウンチの量と大きさを興味深く確認しました。
講義の後半では、講師の横手氏が管理栄養士としてヤクルトに勤務している経緯について、自信を持って仕事をするために必要と思ったスキルを身につけるためのキャリアデザインをご紹介いただきました。
「もともと高校の時に予防医学の仕事をしたいと考え、健康を維持するためには適切な食事が必要だと思い短大で栄養士を目指していました。しかし食事を美味しく食べてもらうためには、調理師のスキルを持った栄養士が必要だと考え、短大卒業後はホテルでの調理の道に進み、さらに飽きがこないように様々な食種を学ぶために多くの食経験を国内外で積み重ねてから施設や病院の栄養士になりました。そうして実務経験を積んで管理栄養士を取得し、栄養食事指導などの経験を積んで自信と誇りを持って今、ヤクルトで勤務させていただいています。栄養士や管理栄養士は様々なところで活躍していますから、自分が働くために必要なことを考え、多くのことを学ばれることを期待しています。」と自分の学生時代の姿を重ねられながらお話いただきました。
講義を聞いた学生からは、
「病院でもプロバイオティクスが使われていると聞いて驚きました」
「肥満に腸内細菌が関わっていることに驚きました」
「企業が病院と連携して研究を進めていることに感心しました」
「将来の職種を考えているところですが、固定観念に縛られず、本当にしたいことは何かを大切に考えたいと思いました」
などの感想があり、これからの勉学への意気込みや、キャリアデザインの考えにつながる講義となりました。
<昨年の講義の様子>