学科トピックス
大学食物学科、五輪メダリストらトップアスリートが「スポーツ研究」をテーマに講演
2022年07月22日 食物学科
7月14日(木曜)、食物学科3年生の「応用栄養学実習」、1年生の「1年次セミナー」、4年生の「高齢期栄養学実習」の授業を合同して、リオ五輪柔道女子70キロ級金メダリストの田知本遥氏、アトランタ五輪サッカー代表の松原良香氏、インボディ・ジャパン(株)の嶋渡氏を講師としてお招きし、「スポーツを研究する」をテーマにご講演いただきました。
昨年度も同様の授業を実施し、松原氏、田知本氏にはオンラインで講師を務めていただきましたが、今年度も新型コロナウイルス感染拡大状況により、オンラインでの実施となりました。
まず初めに、田知本氏と松原氏よりご講演いただきました。
- 田知本氏:「オリンピズムに関する研究」について
まず、本研究を行うきっかけとして、「今まで勝つことが全てだと思い競技を行ってきたが、リオオリンピック決勝戦の対戦相手から、試合が終わった時に『ありがとう』の言葉をもらい、金メダルが確定した時に今までにない感覚があり、自分が想像していた喜びとは違った」とのエピソードを述べられ、「引退後オリンピズムという概念と出会い、今までオリンピックを通じて行き着いた思いがリンクして研究したいと思った」と話されました。
また、「研究を行う中で、『勝ち』と『価値』という言葉について考えさせられ、今まで『勝ち』を追求してきたが、リオオリンピック当日に『価値』を手にしていたことに気づかされた」と話されました。
最後に、「現在は子ども向けの柔道アカデミーを行っているが、研究を活かして、未来をつくっていく子どもたちにオリンピズム等を伝えていきたい」と、今後の目標を語られました。
オリンピズムとは・・・近代オリンピックの創始者クーベルタンが提唱した、オリンピックのあるべき姿。「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍などさまざまな差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」というもの。オリンピック精神。
- 松原氏:研究を通じて会得した「インタビューの方法」について
松原氏は「ストライカーの研究」を行っており、データをとるため様々な選手等にインタビューをする際、どのような心がけが必要かインタビューのポイントについて話されました。
「相手がどのような人物なのか事前に調べておく」「インタビュー時間や質問数を計算しておく」「インタビューの目的から逸れないようしっかり定めておく」「質問内容を複雑にせず相手にわかりやすいものにする」「相手がどのような人物であっても物怖じせず堂々と質問をする」「主役は相手なので、こちらが喋りすぎない」など、自身の失敗談を交えながら、事前準備が大切であるということを強調され、わかりやすく教えていただきました。
続いて、松原氏より「オリンピアンのセカンドキャリアを問う」をテーマに、田知本氏へのインタビューを実践していただきました。
松原氏は「モチベーションの維持方法」「今の心境にたどり着いた経緯」「金メダルを取って何を学んだか」等の質問を田知本氏へ投げかけていました。
最後に「学生へ伝えたいことは」と質問を受けた田知本氏は、「どのような結果になったとしても、あなたの“価値”は変わりません。目標に向かって悩んで精一杯頑張った工程があるのなら、その“価値”は輝いています。自信を持って色々なことに挑戦してもらいたいです」と学生たちへ熱いメッセージを贈られました。
その後、学生が田知本氏と松原氏にインタビューを行う時間もあり、「サプリメントの使用について」「食事と身体づくりの方法」「管理栄養士との関り」等の質問を投げかけ、質問の一つ一つに丁寧に答えていただきました。
続いて、インボディ・ジャパン(株)の嶋渡氏より、インボディの使用方法や導入している企業やチームの紹介、結果データの見方等の説明があり、実際のアスリートの体組成データを見せていただきながら、スポーツ別に見えてくる体組成の特徴をわかりやすくお話しいただきました。
学生の就職先である病院等施設での利用方法(健康管理、アセスメント)の説明もあり、学生にとって大変身近な内容として聞く事ができました。
また、体組成からみた競技種目当てクイズもあり、学生が夢中で取り組んでいました。
最後に学生が講師の方々に向けて、「現在、就職活動中で“勝ち”と“価値”の話は心に刺さりました」「スポーツだけでなく何においても人間性が大切だと感じました。実習や国家試験、就職活動を控えていますが、本日のお話を糧に、事前準備を怠らず頑張っていきたいです」などと感想を述べていました。
また、講演後にも、田知本氏より、選手時代にモチベーションを保つために行っていたメンタルトレーニング等、普段聞くことのできないお話をいただき、学生にとって大変貴重な体験をさせていただきました。