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学科トピックス

関根千佳客員教授より『ユニバーサルデザイン』について学ぶ

2021年07月26日 社会福祉学科

7月18日(日曜)、本学客員教授の関根千佳先生による「情報のユニバーサルデザイン論」が開講され、社会福祉学科3・4年生が受講しました。

関根先生は、現在株式会社ユーディット(情報のユニバーサルデザイン研究所)の会長兼シニアフェローを務められ、デザインの初期段階から多様なユーザーを参加させるIT機器などの開発、 高齢過疎化の進む地域社会の活性化や、誰もが自分らしく生きられる社会の在り方の提言等を行われています。

また、同志社大学・放送大学などの客員教授も務められており、本学では20年以上前からご講義をしていただいております。

 

先生の様子

 

この授業は、社会福祉学科の学生が世界最高齢国家の日本で、福祉職として仕事をする上で不可欠な考え方である“ユニバーサルデザイン”と、基礎学問である“ジェロントロジー(高齢学)”について学び、将来自分の仕事に活かせるようになることを目的として開講されています。

 

集中講義形式で、今年度は7月10,11,17,18日の4日間にわたって開講されており、最終日となるこの日は、“高齢者の暮らし”をテーマに、家庭内での事故を防ぐための住宅のユニバーサルデザインや、高齢期の生活の送り方について、日本と欧米のシニアの意識の違い等を学びました。

 

 

 

まず関根先生は、浴室でのヒートショックや廊下・階段での転倒等、家庭内で起りやすい高齢者の事故例をあげられ、手すりの位置や扉の種類、廊下の幅や段差の高さ等、事故防止のためにはどの部分にユニバーサルデザインを導入すれば良いか具体的に説明されました。

学生たちは、普段何気なく暮らしている自宅でも、高齢になると事故の要因となる箇所が多くあることを学び、高齢者を始め妊産婦や子どもなどが安全に暮らせるユニバーサルデザインの住宅を考えるための視野が広がる内容となりました。

 

講義の様子

 

次に、世界各国で調査した高齢期の暮らしについてのアンケート結果から、日本と欧米では施設へ入所することに対してのイメージが全く違うという説明があり、関根先生より、「日本では、施設に入所するということは弱者としてお客様扱いされるので、できれば入所したくないし、家族も入所させたくないといったマイナスイメージがあるが、アメリカにはCCRCと呼ばれる施設があり、多くの人たちがCCRCでシニアライフを謳歌している」と日本ではあまり聞き慣れないCCRCについての紹介がありました。

 

※CCRC(Continuing Care Retirement Community)とは、高齢者が健康なうちから入居し、終身を過ごすことが可能な生活共同体のことを指します。日本の老人ホームは健康に不安を抱えた時に入居する傾向がありますが、海外のCCRCは健康には問題のない方々もセカンドライフを楽しむために入居します。

アメリカでは既に各州で2,000を超える施設があるなど広く根付いた考え方であり、そこでは単に日常生活を送るだけでなく50歳から移住して通勤・起業する人もいます。また、入居者自身が運営する自治組織があり、施設で勤務する職員の採用等についてもその居住者の組織が行っています。

 

また、日本にもいくつか存在する日本版のCCRCについての紹介もありました。

学生たちは、初めて耳にするCCRCや日本と欧米の文化の違いについての話を真剣な眼差しで聞いていました。

 

 

  • 参加した学生のコメント

「4日間を通してユニバーサルデザインについて深く学ぶことができました。また、日本と海外との違いも学び、海外のユニバーサルデザインを全て日本に取り入れるのは文化の違いなどから難しいかもしれませんが、日本の社会福祉の発展につなげていけるよう、今後この知識を活かしていきたいです。」

 

  • 関根先生からのメッセージ

「今回は、人生100年時代の暮らしや生活について、住居やコミュニティをいかにユニバーサルデザインにしていくかという部分をお話ししました。社会福祉に携わる人々は、高齢者や障害者、子どもたちなどの「人生」の伴走者です。その人々が幸せな暮らしを送ることができるよう、生活の質を上げることができるよう、サポートするのが仕事です。広く世界に目を向けつつ、目の前の人のために動いてください。」

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