学科トピックス
認知症とともに、まちづくりセミナーを開催
2025年09月04日 社会福祉学科
9月1日(月曜)、美作大学社会福祉学科 堀川ゼミ主催「認知症とともに、まちづくりセミナー」が本学100周年ホールにて開催されました。
一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)相談役理事を務められている藤田和子氏と、JDWGパートナー会員の澤野しのぶ氏をお迎えし、堀川涼子教授との公開対談を行いました。
藤田氏は看護師として15年勤務、認知症の義母を9年介護。45歳でアルツハイマー病と診断された後、ご自身で認知症に関する発信を始められました。澤野氏は藤田さんの昔からの友人であり、パートナーとして、共に活動されています。
この度は「認知症になってからも 自分らしく暮らせる 地域(まち) をともにつくろう」というテーマでお話しいただきました。
藤田氏は堀川教授の問いかけに答えながら、まだ世間や医療機関にすら若年性認知症が完全には受け入れられていない状況を語られました。
アルツハイマー病だと診断されたとき、不安や心配はあったものの「いろいろなことができにくくなったのは、自分が悪いのではなく病気だから起こることなんだ」というほっとした気持ちがあったといい「診断イコール絶望ではない」と語られました。そして、「今は認知症状の進行を遅らせる薬が開発されている、「新しい認知症観」をみんなが理解して、早期に受診し、医療や生活環境を整えることで、いつまでも自分らしく暮らせることを知ってほしい」と呼びかけられました。
また、昨年施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」について藤田氏と澤野氏にお話を伺いました。
JDWGは2018年、厚生労働省内で記者会見を行い「認知症とともに生きる希望宣言」を表明しています。
その活動から、昨年施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の策定過程に藤田氏も加わり、本人の声が入った法律になっていると教えていただきました。単なる「認知症基本法」ではなく、「共生社会の実現を推進するため」というところが重要だと強調されました。
後半は、みまさか認知症疾患医療センターや津山市、美咲町、鏡野町の地域包括支援センターや社会福祉協議会の職員の方による、それぞれの市町の認知症施策、認知症本人とともに行っている活動や、認知症理解啓発の取り組みの紹介が行われました。
その後、会場の参加者同士で、「自分が認知症になっても、何をしたいか、どうありたいか」、「自分が認知症になったときに地域にどうあってほしいか」を話し合い、フリップに書いて共有しました。
「認知症になってからも 自分らしく暮らせる 地域(まち) をともにつくろう」という思いを参加者みんなで共有して閉会しました。
藤田和子氏著書「認知症になってからも自分らしく本人の声がひらく新しい認知症観の時代へ」(メディア・ケアプラス、2025年)