学科トピックス
『ヤングケアラー』を考えるフォーラムを開催
2022年11月25日 社会福祉学科
11月3日(木曜)、本学100周年記念館にて、NPO法人おかやま地域福祉研究所COMと小坂田稔教授ゼミ主催の『ヤングケアラー』を考えるフォーラムが開催されました。学生68人を含め、116人が参加しました。
「ヤングケアラーの今、そして未来~「知る」が支援の第一歩」と題して、ヤングケアラーである子どもたちが夢と希望をもって地域で暮らしていけるために、私たち1人ひとりに何が求められているのかを考えました。
開会挨拶は、小坂田ゼミ代表の4年生 島田二千翔さん(2019年度入学 美作高校出身)が行い、続いて学内で行ったアンケート結果についても発表しました。アンケート結果から身近にヤングケアラ―経験者がいることが明らかになりました。
基調講演では、特定非営利活動法人ふうせんの会の高岡里衣氏にご登壇いただき、ヤングケアラーの現状を、9歳から家族のケアをしていた高岡さんご自身の経験も踏まえて講演いただきました。ふうせんの会は、家族を介護している若者が悩み打ち明けられる場所として2019年に設立されました。
ヤングケアラーとは「ケアを担う子ども・若者たち」のことを指し、身体的介護だけではなく感情的なサポート、通訳なども含まれると説明されました。全国調査によると、おおむね17~20人に1人はヤングケアラー、若者ケアラーの可能性があるそうです。
そして、ヤングケアラーにとっては家族のケアをすることが当たり前になっていて、「やりたいけどできていないことはないか」というアンケートを取った際には「特にない」という回答が一番多く、ご自身も「できていないという自覚がなかった」と話されました。
続いて、昨年よりふうせんの会の運営メンバーとして活動を開始された三島俊祐氏にご登壇いただき、ヤングケアラーの当事者としてお話いただきました。大学2年生からヤングケアラーとなった経歴や感じたことを包み隠さずお話しくださいました。
後半のフォーラムでは、N.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社の神戸貴子氏、NPO法人ファミリーリングあゆむ理事長の飯田純子氏、岡山県スクールソーシャルワーカーの真木佐江子氏にもご登壇いただきました。
本日お話しいただいた5名の方は共通して、「ヤングケアラーの存在を認識することが大切」だと話されました。
最後に小坂田教授が、厚生労働省が公開している文章を引用し、「ヤングケアラーは「子どもとしての時間」と引き換えに、家事や家族の世話をしています。まわりの人が気付き、声をかけ、手を差し伸べることで、ヤングケアラーが「自分は一人じゃない」「誰かに頼ってもいいんだ」と思える、「子どもが子どもでいられる街」を、みんなでつくっていきませんか。」と参加者に訴えかけました。
NPO法人おかやま地域福祉研究所COMの副理事長 高木成和氏のあいさつで閉会となりました。
- 参加者の感想
「実際に経験した貴重な話を聞かせていただいて、ありがとうございました。 お陰でヤングケアラーについて正しい知識や、様々な考えを知ることが出来とても勉強になりました。
今回のフォーラムでヤングケアラーの方々の想いに寄り添うことの大切さや、知ること、気付くことの大切さを改めて感じることができました。貴重なお話をありがとうございました。」
「三島さんの介護経験は、決して不幸な話ではありませんでした。けれどもしんどいこともあるので、サポートは必要なのだと思いました。」
「「ヤングケアラ―」と言っても、様々な立場やケアがあり、多様であることがわかりました。その中で、「当たり前のことで相談することではない」「自分がやらなければならない」と思って抱えているところに共通の課題があるのだと思いました。ヤングケアラ―も要介護者も大変な思いをしている現状があるので、みんなが安心できる場所を周りが作ることが大切だと学びました。」