ソーシャルワーカー(社会福祉士)に欠かせない人権の理解を深める~社会福祉学科1年生他が長島愛生園を視察~
2020年07月08日 社会福祉学科
6月23日(火曜)、社会福祉学科1年生を中心に計50名が国立療養所長島愛生園(岡山県瀬戸内市)で視察研修を実施しました。
「国立療養所長島愛生園」は全国に13カ所ある国立ハンセン病療養所のひとつで、1931(昭和6)年に開園しました。
当時のわが国におけるハンセン病に対する差別・偏見は厳しく、癩予防法など国の隔離政策により多くのハンセン病患者が「収容桟橋」を渡って隔離されました。1996(平成8)年にらい予防法が廃止となり、隔離政策は法制度上は終焉しましたが、高齢化や後遺症、そして今なお残る差別・偏見のため、現在も138名の方が療養生活を送っておられます。
学生が学んでいるソーシャルワークの価値のひとつに「人間の尊厳」があり、「すべての人々を、様々な事情による違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する」という意味が込められています。
社会福祉学科では、ハンセン病の歴史的な背景と当事者の想いに触れる機会を通じて「人間の尊厳」を正しく理解し、人権問題に向き合うことのできるソーシャルワーカー(社会福祉士)を育むため、この視察を毎年1年生や編入生に対して実施しています。
当日は、2つのグループに分かれ、前半は資料館や園内の見学、後半は学芸員の方々による講話を拝聴しました。
講話においては、入園されている当事者の語りを事前に録画したものを視聴しました。今日に至るまでの差別・偏見の壮絶さ、生きにくさを抱えながらも前を向いて生きてきたこと、ハンセン病の正しい理解の促進、その他未来の希望をつかむために取り組んできた運動など、当事者ご自身の半生を惜しみなくお話しいただき、またその内容について学芸員の方々より新型コロナウイルスによる今日の社会情勢を踏まえて解説をしていただきました。これらの貴重な機会を通じて学生たちはソーシャルワーカーにとって欠かせない大切な視点を得ることができました。
視察を終えた学生は、「今回学んだことを後進にどのように伝えていくべきかを考える貴重な時間になった」、「ソーシャルワーカーにとってなぜ人権を擁護することが大切なのか分かった」と感想を述べていました。