実習・カリキュラム(小学校教員養成コース)

小学校教員養成コースがめざすものは、幅広い専門知識と深い洞察力を持った先生。

「知識基盤社会」といわれる現在、学校現場には複雑な課題が多くあり、教員には教育に関する基礎的・基本的な知識・技能だけでなく、主体的に思考し他者と協働する力や学び続ける力などが求められています。
このような現状を見据え、本学では、地域の小学校で実際に児童と関わる演習・実習を1年次から4年次まで段階的に行っています。これにより、児童とふれあう喜びや教科指導・生徒指導の難しさを肌で感じることができます。また、小学校の先生方や地域の方々との交流を通して、教員をめざす自分自身の課題も明確化します。そして、大学で課題に関連した専門的内容を能動的に学習し、再び地域の小学校で実践するといった循環的学習を通して、これからの教員に必要な「課題解決力」や「主体的に学び続ける力」などの、柔軟で幅広い実践力の獲得をめざしています。

全体の流れ

1年次

1年次では基礎的な科目を履修します。教育についての基本的な知識を身に付けるとともに、小学校だけでなく、保育所・幼稚園にも見学実習に行き、幅広い視野を養います。

2年次

2年次では教科教育法といった、実際の授業実践力につながる科目を履修します。また、児童の心理面や教育の制度面についても専門的に学んでいきます。

3年次

3年次ではカウンセリングや生徒指導といった、学校でのより具体的な場面について学んでいきます。また、これまでの学びを活かして教育実習に臨み、実践力を一層育みます。

4年次

4年次では実際に学校で授業をするなど、現場で即戦力となるための実践力を身に付けます。卒業論文では各自がテーマを設定して研究し、主体的な課題解決力を養います。

授業紹介

2年次児童体育

この授業では、小学校体育科の運動領域について、実際に身体を動かしながらその指導方法について考えていきます。音楽をかけて準備運動をしたり、ICT機器の効果的な使い方を考えたりしながら、児童が主体となって活動できる授業について、みんなで学んでいます。授業後の学生アンケートからは「運動が苦手な児童も楽しく活動できる授業づくりをしていきたいです。」「タブレットやタイムシフトカメラ等、ICT機器の良さが分かりました。」といった声が挙がっています。感染症対策をしながら楽しく体を動かし、主体的・対話的で深い学びを実現する体育授業を体感しています!(木谷 晋平/講師)

写真:児童体育。タブレットを見ながら説明する教師と学生の様子

3年次教育相談

幼児・児童の教育には、子どもの想いや感情、欲求などを子どもの立場に立って丁寧にくみ取るとともに、指導者としての立場から自分の考えや感情、願いなどを適切に伝えることのできる力量が求められます。この力量は、相手が保護者であっても同僚であっても欠かすことのできないものです。
この授業では、学校教育相談学や教育心理学、ソーシャルワークの視座から幼児・児童の発達上の課題や保護者の心情、ならびに教育相談の特徴について理解し、カウンセリングの基礎的な演習を繰り返して、小学校・幼稚園で教育相談ができるための基礎的力量を培います。(渡邉 淳一/教授)

写真:教育相談。生徒がそれぞれの役に扮してカウンセリングの基礎的な演習をしている様子

4年次教職実践演習

本演習では、1年を通し、週1回、津山市および近隣市町の小学校に赴き、児童とともに給食、昼休み、掃除をして過ごした後、5時間目には担任の先生の授業補助、6時間目には算数科の補充学習を受講者自らが担当します。これにより、これまで大学の授業で習得した学習知と、教育実習などで体得した実践知とを、両者を往還する「学びの循環」により統合・進展させていきます。
そして、4月から教壇に立つにあたり、また就職後も継続的な自己研鑽を可能とする使命感や責任感に裏打ちされた確かな実践力の獲得をめざします。(遠藤 健治/教授)

写真:教職実践演習。小学校での授業の様子

1年次職業イメージを具体化する「実践力基礎演習」

1年次では、小学校・保育所・幼稚園・社会福祉施設の4箇所へ全員が見学実習に行きます。実際に現場を見ることで、職業イメージを膨らませ、大学での専門的な学びへと繋げていきます。
また、見学実習の他にも、教員採用試験や公務員試験に必要な一般教養に関する授業を受けたり、元教員の先生方・試験に合格した先輩達の講話を聞いたりするなど、様々な活動が行われています。

2年次現場で活動しながら学ぶ「ボランティア実習」

2年次では、津山市内の小学校・保育所・幼稚園で毎週ボランティア実習を行います。実際に子どもと関わり、先生方の活動を見ることで、大学で学ぶ専門知識の理解をより深めることができます。
また、実際に活動することで、自分が専門職になる上で何が足りないか、についても理解しやすくなります。なお、希望する学生は3年次以降も継続してボランティアを行うことが可能です。

基礎教育分野

一般教養を養い専門知識を支える基礎教育カリキュラム
(基礎教育分野のうち児童学科基礎科目)

学科基礎科目
学年 前期 後期
1年次
  • 児童学概論
  • 児童文化学概論
  • 実践力基礎演習
  • 心理学概論Ⅰ
  • 芸術と人間
  • 心理学概論Ⅱ

専門教育分野

専門的知識の習得と実践力養成に重点を置いたカリキュラム

児童文化領域
学年 前期 後期
2年次
  • 児童美術
  • 児童文学
3年次
  • 児童音楽
なし
4年次
  • 児童文学演習
  • 児童美術演習
  • 児童音楽演習
心理学領域
学年 前期 後期
1年次
  • 比較心理学
  • 心理学研究法
  • 社会心理学
2年次
  • 発達心理学Ⅰ
  • 心理学基礎実験
  • 発達心理学Ⅱ
3年次
  • 心理統計法
  • 学習心理学
  • カウンセリング
  • 心理学実験演習
  • 子ども理解の理論と方法
  • 教育心理学
  • 心理データ解析
4年次
  • 認知心理学
  • 学校臨床心理学
  • 児童臨床心理学
  • 家族心理学
  • 児童臨床心理学演習
教育学領域
学年 前期 後期
1年次 なし
  • 児童教育学概論
2年次
  • 学校教育社会学
  • 教職論(幼・小)
  • 教育課程論
3年次
  • 生徒・進路指導論
  • 教育課程各論
  • 特別支援教育の理解
  • 道徳教育指導論
  • 教育原理
  • 教育相談
  • 特別活動指導法
  • 総合的な学習の時間の指導法
4年次
  • 教育方法・技術論
なし
教科関連領域
学年 前期 後期
1年次
  • 書道
  • 音楽Ⅰ(器楽)
  • 美術Ⅰ(絵画)
  • 美術Ⅱ(彫塑)
  • 家庭科概論
2年次
  • 社会科概論
  • 児童体育
  • 音楽Ⅱ(器楽)
  • 音楽Ⅲ(声楽)
  • 理科概論
  • 児童保健学概論
3年次
  • 数学概論
  • 国語概論
  • 児童英語
  • 生活科概論
教職関連領域
学年 前期 後期
1年次 なし
  • 図画工作科教育法
2年次
  • 国語科教育法
  • 社会科教育法
  • 算数科教育法
  • 理科教育法
  • 家庭科教育法
  • 図画工作科教育法研究
  • 国語科教育法研究
  • 社会科教育法研究
  • 算数科教育法研究
  • 理科教育法研究
  • 家庭科教育法研究
3年次
  • 生活科教育法
  • 音楽科教育法
  • 体育科教育法
  • 外国語科教育法
  • 事前事後指導(小学校)
  • 教育実習(小学校)
  • 生活科教育法研究
  • 音楽科教育法研究
  • 外国語科教育法研究
  • 体育科教育法研究
4年次 なし
子育て支援領域
学年 前期 後期
2年次
  • 保育内容人間関係
  • 保育内容言葉
  • 保育内容表現Ⅰ
  • 保育・教職論(幼稚園)
  • 子どもと環境
  • 保育内容健康
  • 保育内容環境
3年次
  • 保育内容総論
  • 子どもと人間関係
  • 子どもと言葉
  • 教育課程論(幼稚園)
  • 子どもと健康
  • 子どもと表現Ⅰ・Ⅱ
4年次
  • 保育方法論
  • 保育・教職実践演習(幼稚園)
  • 事前事後指導(幼稚園)
  • 教育実習Ⅰ・Ⅱ(幼稚園)
卒業研究
学年 前期 後期
3年次
  • 児童学特講
  • 心理学特講
4年次
  • 卒業論文
なし

* 上記のほかに語学等の一般教養科目があります。