学科トピックス
地域と連携しヤングケアラーの課題と支援を考えるフォーラムを実施
2024年12月06日 社会福祉学科
11月9日(土曜)、本学100周年記念館5階にて、本学社会福祉学科が主催の「ヤングケアラー」をテーマとしたフォーラムが開催されました。このフォーラムには、社会福祉学科の学生や地域住民、民生委員、医療福祉関係者など約100名が参加し、ヤングケアラーの実態と支援の重要性について理解を深めました。
フォーラムでは、大阪公立大学現代システム科学研究科の濱島淑恵教授と、NPO法人「ふうせんの会」の会員で、ヤングケアラ―経験者であり、現在はケアマネージャーとしてお仕事をされている酒井清旭さんを講師としてお迎えしました。
濱島教授による講演では、ヤングケアラーに関する調査から得られた知見を基に、要介護状態の祖父母や疾患を抱える親、知的障害のある兄弟を日常的に支える子どもたちの実情について詳しく報告がありました。特に、過度な負担が学業や進路、健康に深刻な影響を及ぼす点や、相談相手がいないために問題が表面化しにくい現状を指摘され、「大人でも負担の大きい役割を子どもが担うことは非常に困難です。周囲の気づきと声掛け、そして適切な医療や福祉サービスへのつなぎが不可欠です」と述べ、支援の重要性を訴えました。
続いて、酒井さんは自身の体験をもとに、幼少期の家事手伝いや大学時代に重病の母親を介護したエピソードを語られました。この経験は漫画『お母さんのおむつを替えた日』(一ノ瀬かおる著、竹書房出版)のモデルにもなったとのことです。講演では、「最も恐ろしいのは当事者が孤立してしまうこと。悩みを相談できる協力者の存在が光をもたらします」と強調し、支え合う大切さを呼びかけました。
今回のフォーラムを通じて、参加者はヤングケアラーの現状や課題について理解を深めるとともに、支援のあり方について考える貴重な機会となりました。「ヤングケアラ―」の理解を広げるフォーラムは2022年から毎年開催しており、3回目の今年は、理解を広げるだけでなく、「理解と支援を一歩前へ」と題し、フォーラムの後、ヤングケアラーサポーター養成講座も開催しました。
美作大学社会福祉学科では、今後も地域社会と連携し、ヤングケアラーを含む多様な社会課題に取り組む教育・研究活動を推進してまいります。