美作大学では、地方創生を多角的に学ぶことを目的とした「地方創生論 連続講演会」の第3日目を、2月10日(火曜)に開催しました。本講演会は、現代社会が抱える地域課題をテーマに、実践的な視点から地方創生を考える機会として企画されたものです。

最終日となる3日目は「これからの地方自治が考えなければならない事」をテーマに、前京都府知事、元全国知事会長、京都産業大学理事長・教授の山田啓二氏にご講義いただきました。

講義の前半では、2月8日(日曜)に行われた第51回衆議院議員総選挙について、山田氏の視点から総評がなされました。各党のマニフェストを比較した上で、「政治家は嘘はつかない、しかし、都合の悪いことは語らない」と述べられ、多くの政党が触れなかった論点を丁寧に検証することの重要性が示されました。今回の選挙では、①人口目標、②新しい社会像、③国土構想の三点について、多くの政党が十分に触れていないことが指摘され、これらの「不都合な事実」の中にこそ問題の核心があるとの考えが示されました。
まず、「①人口目標」については、将来的に日本の人口減少が不可避であるという現実を前提に、人口目標を持たないことの危うさが指摘されました。人口目標がなければ、あらゆる政策や地域計画の前提が定まらず、危機感が共有されないまま対策が進んでしまうという問題があります。
出生率の低下は日本固有の問題ではなく世界的な傾向であり、人口問題は社会や産業の構造そのものを変えていく重大な課題であることから、政治が明確な目標を示す必要性が強調されました。また、人口減少を食い止める力として教育の重要性が挙げられ、とりわけ高等教育機関は地域社会を支える中核的存在であるとの認識が示されました。
岡山県北の事例にも触れながら、「この地域にとって、美作大学を失うことは心臓を失うことに等しい」との大変有り難い言葉が述べられ、聴講していた学生・大学関係者には、大きな励ましが与えられました。

次に、「②新しい社会像」については、人口減少とDXの進展が新しい生き方・働き方を可能にするとの視点が示されました。
副業や多拠点生活など多様で柔軟な働き方が広がりつつあり、行政サービスもデジタル化によって大きく変わろうとしています。通勤や巨大な庁舎を前提とした従来型の仕組みからの転換が進む中、地方自治体がどのように対応していくのかが重要な課題であることが示されました。また、人口減少は雇用や消費構造にも大きな影響を及ぼしており、若年層の減少や労働力不足、非正規雇用の増加により、学校や企業といった「社会のよりどころ」が揺らぎつつある現状も示されました。
さらに、住宅の余剰や経済成長モデルの転換、若者の価値観が「所有」から「安定や体験」へと移りつつある状況についても紹介されました。
最後に、「③国土構想」については、日本全体の将来を見据えた構想の必要性が提起されました。
高度経済成長期とは逆の発想が求められる時代に入っているとの提言とともに、老朽化する道路や水道などのインフラ問題、将来的に増加が見込まれる外国人住民との共生といった地域社会が直面する現実的課題にも言及がありました。人口減少時代においては、人の力を活かし、共に支え合う地域社会を築くことが希望につながると述べられました。そして、新しい生き方・働き方を通じて創造的な日本を築く担い手は若い世代であるとの力強いメッセージが送られ、自由で活発な未来を切り開いてほしいとの期待が示されました。
今回の講演会は、地方自治と地域社会の可能性を前向きに考え、新しい生き方・働き方を通じて創造的な日本を築く担い手は若い世代であるとの勇気を与えられる貴重な機会となりました。
![]()
