Home>学部・大学院>食の分野について>栄養学科>学科トピックス>[食物学科・栄養学科・専攻科]合同の特別講義実施(5/27)

食の分野

栄養学科

[栄養士養成課程]

[食物学科・栄養学科・専攻科]合同の特別講義実施(5/27)

2014年05月29日栄養学科

食物学科、栄養学科、専攻科3学科の3つの学科合同の特別講義「摂食・嚥下障害について」が行われました。(5/27)


特別講義の写真
平成26年5月27日(火)、食物学科4年生、短大栄養学科2年生、および専攻科の学生を対象とした特別講義「接触・嚥下(えんげ)障害について」が実施されました。

この講義は食物学科「高齢期栄養学演習」(小坂先生)、栄養学科「臨床栄養学実習II」(橋本先生)、専攻科「生活支援技術C」(高原先生・若林先生)の授業の一環で、3つを同時開講として行われました。

大学、短大、そして専攻科の3学科が合同で実施される講義は珍しいのですが、「食」、「福祉(介護)」の2つの分野の3学科が一緒になって、高齢社会や介護現場で食事管理事情の問題をともに考える良い機会となりました。

特別講義には講師として、イーエヌ大塚製薬株式会社マーケティング本部の大西 理衣先生にきていただきお話をいただきました。前半は説明中心、後半では、嚥下障害の方に向けて開発された介護支援食を実際に試食しました。学生のみなさんは介護食を実感することで、講義の理解をよりいっそう深めることができたと思います。

大西先生、ありがとうございました。


摂食・嚥下障害について


特別講義の写真
今回の特別講義「摂食・嚥下障害について」というタイトルのとおり、高齢者や脳梗塞後の患者さんなどにみられる食事摂取における障害がテーマです。

はじめに嚥下障害の原因疾患、症状の説明、誤嚥(ごえん)が引き起こす病状、その判断(診断)方法や重症度合いなどの基準について教えていただきました。
さらにこれらの障害を治療するための訓練方法についてお話してもらいました。

たとえば、私たちが食事の際に"むせる"のは食事が誤って気管などに入っていかないようにする防御機能なのですが、高齢や大きな病気を疾病した場合に、この誤嚥に体が反応せず(むしろ体が反射で反応しているにも関わらず本人が自覚せず)、肺炎などを引き起こすことがあるそうです。

このような嚥下障害に対して、症状を見極めること、直していくこと、そして予防していくことを分かりやすく説明くださいました。


さてこの嚥下障害は神経性食思不振症(拒食症)などの心理的障害である「摂食障害」にも深い関連性があります。誤嚥を防ぐために食材をつぶして混ぜたもので食事を提供することも、見た目や味において食事したいという気持ちが低くなることも摂食の障害になるひとつの要因です。

その問題を解決するため、大西先生の勤務するイーエヌ大塚製薬株式会社が摂食回復支援食「あいーと」を開発しました。嚥下障害であっても、彩りと味をしっかりと感じ、食べることが楽しい食事メニューをを提供できるようになりました。


摂食回復支援食「あいーと」


特別講義の写真
この開発された摂食回復支援食「あいーととは、形や色などの見た目は普通の食事と同じでありながら、口の中に入れると舌でくずれる軟らさを実現した経口摂取支援食品で、見た目も摂食の重要なファクターとして捉え、食べることへの意欲が持てる様に工夫されたものです。
また、3食で約950〜1,300kcal、たんぱく質約30〜60gを摂取できる設計になっており、栄養面でも配慮されています。
現在までに30食以上のラインアップをそろえ、全国に販売しています。


「あいーと」試食


特別講義の写真
講義の後半では、参加者全員にこの「あいーと」を試食してもらいました。
支援食を実際に体感することで、今日の講義の内容をより深く理解できたのではないでしょうか。

今回は試食として、銀鮭の塩焼きや筑前煮、エビチリになんとブロッコリーや栗ごはんまで用意されました。
見た目はまったく通常のものと変わりません。
それでいて、おはしで分けたり、口の中に入れると、簡単にくずれるやらかさを保っています。
はじめに口の中に入れた瞬間、学生たちはみな驚きの表情をしていました。
味もしっかりと食材にしみこんでいて、やわらかな食材になっていても味が損なわれていません。

食物学科4年の宇野さん(岡山県津山高校出身)と兼折さん(島根県平田高校出身)は、「見た目はまったく一緒なのにすごくやわらかくて食べやすくなっていてびっくりした。味もおいしく、これだったら食事が楽しくすすむと思う。」と話していました。


質疑応答の時間では、学生が積極的に質問しました。食物、栄養学科からは、食材のこと、活用シーンのこと、専攻科からは、肢体不自由な方への摂食(食事)介助の方法など。丁寧に回答いただきました。学生のみなさん、熱心にメモを取っていました。


「学生時代にはアンテナをはっていろんなこと、学んでください」


特別講義の写真
高齢社会が進む近年では、できる限り健康を維持して、また病気を患ってもまた戻ってきて、長く住み慣れた町で過ごしたい。
摂食嚥下障害も病状を周囲が正しく理解して、
そして食べることの楽しさを感じられるようにしたいと日々開発に力を注いでいるとのことでした。
最後に大西さんは学生に温かいメッセージをくださいました。
「学生時代にはいろんなことを知る機会がとても多くあります。アンテナをひろく張って、興味あることに向かって、時間めいっぱい楽しみながら学んでください。」

今日は本当にありがとうございました。
とても良い学びの時間でした。

学科カテゴリー

学科トピックス一覧