第9回「美作子どもの国語力研究会」が本学で実施されました(8/11)

2012年08月20日児童学科

第9回「美作子どもの国語力研究会」が開催されました


美作子どもの国語力研究会の写真このたび8/11(土)に美作大学・美作大学短期大学部にて、「第9回美作子どもの国語力研究会」が開催されました。

美作地域の小学校の先生を中心に約50名の方が出席。
本学からは、夏休みの最中、小学校教員を目指す、児童学科の学生4人が参加しました。

美作子どもの国語力研究会の写真今回は、「説明文の読みの力を高める研修講座(その2)」をテーマに、高学年の説明文教材の読み方をとりあげました。説明文「和紙の心」の授業実践のとりくみの発表や、今までに寄せられた研究内容や運営などに関するご質問やご意見への回答、さらに、特別講演として、工学博士の福田良輔氏(通称名 畑良輔)をお迎えし、科学者の目から見た国語力についてお話をいただきました。

休みの日にも関わらず参加者のみなさんは熱心に聴講していました。

ここでは、2つの実践発表と、講演として行われました「子どもたちを育む科学とことば」をピックアップします。



説明文「和紙の心」の授業実践のとりくみ


この研究会の特長として、国語の授業を担当して長らくの経験豊富な方のお話やアドバイスと、教員となって間もない先生方の創意工夫によって行われる授業の実践報告があり、新しい世代からベテランの教員の方まで幅広く、ともに学ぶことのできる会という点が挙げられます。

その実践報告がはじめに行われました。


まずはじめの報告は、真庭市立美川小学校の宮島先生です。
宮島先生の写真宮島先生は、この「和紙の心」という国語の教材を、教員になられて3年目、5年生の担任になってからわずか2ヶ月目、ようやく子どもたちとの人間関係ができてきたころから取り組みを開始したとのことでした。新人ならではの工夫、ビデオ撮影でのポイントごとの記録、なによりも先生自身が、筆者が意図することを想定し指導するための努力が感じられる発表でした。
面白い取り組みは、「直感教材」を用い、児童たちに和紙について学ぶ意欲を持ち上げ、「和紙の心」についてまずどういうものか、感じることを自由に記述してもらいウェイビングマップを作成、教材を読み上げた後でどういった感情を持つのか期待感を持たせることができたと報告されました。
板書などの工夫も発表し、言葉を大切にすることで理解を深めることができ、直感教材で感じたことを言葉にマッチングできるので、より文章内容を正確に読み取ることができるようになったと成果の感想をお話くださいました。



次に報告したのは、真庭市立樫邑(かしむら)小学校の中上先生です。
中上先生の写真5年生の国語の教材である「和紙の心」を使い、5、6年生に作文指導を実践しました。真庭市樫邑地区は、戦前からみつまたの産地であることから、小学校でも毎年和紙作りに取り組んでおり、その体験を重ねて作文指導を行っていき、子どもたちの作文意欲を引き出していました。
また、発表の後半にあった「合作作文」については非常に多くの興味を惹いていました。部分部分で良く書けたところ、書けなかったところをお互いの作文を読み合うことで考え、お互いのいいところを話し合って組み合わせた合作作文を作る手法です。
具体的な指導と、友だちの作文を読み合い考えることで、書き出すことのできなかった児童に作文を書く力を与えることができたとお話いただきました。

児童学科の学生たちの写真参加した本学児童学科の学生も、「この合作作文について、実践で自分たちも使ってみたい。」と感想を述べていました。

報告のあったどちらの先生方も、その内容、工夫にはとても感心させられました。また自分自身がさらに学んで力をつけようという前向きの目標を強く感じることができた発表でした。

ありがとうございました。



講演「子どもたちを育む科学とことば」


福田良輔先生の写真研究会の後半は、講演会です。
今回は、福田良輔先生(通称名 畑良輔)より、視点を大きく変えてみて、科学の視点で用いられることばとその読み取り方、理解の方法をお話くださいました。
福田先生は、大手電機メーカーで資源エネルギー技術の開発に携わった技術者で退職後出身地の美咲町にて現在中部大学の客員教授を務める傍ら、地域のエネルギー施策と地場産業の復興再生に奔走されています。

講演では専門のエネルギー技術の説明を元に、科学的事象を検討調査していく方法の一つとして、科学技術で用いられる用語やことばをフィッシュボーン状に図式表記し、それぞれの相関性を見出しつつ、ことば=キーワードが示す事象をひも解き、分析していく方法を例出していただいきました。
これは近年の子どもたちが理科や科学を苦手とする要因の一つとして、ことばや文章の表現や理解力の不足があり、科学の分野においても、ことばを理解・解読する工夫を示していただいたと感じました。言えば、一見わかりにくいような事象も、このようにキーワードで相関性を図式化することで、それが何を意味しているかわかることを教えていただきました。

福田先生は、特に太陽光発電を中心に自然エネルギーを活用し、地域の雇用促進、産業発展までに結びつける独自の発想と実現方法をわかりやすく説明いただきことばの話を交えていただいたのですが、実のところは津山市、美作市、そして生まれ育った美咲町の地域の発展や農村再生を願う気持ちがこもった内容で、熱くお話されたことを強く感じました。
旬な話題に心惹かれるのに相まって、科学を語る上でのことばの読み取り方の重要性を大変興味深くお話くださいました。

ありがとうございました。



ことばと文化


ことばには、その国の文化が表されています。
一つ一つの単語にもあり、これらが組み合わさって、用語、文節、文章にさまざまに、そして豊かに文化が織り込まれていきます。

和紙の心。

今回教材となったこのタイトルにわかるように、伝えるべき心の文化があることをわたしたちはしっかり感じて取ることを大切にしなければなりません。
そして、文化を伝えるためのことばを、先生方がこうして集まって、育んでいこうと取り組んでいます。

美作の子どもの国語力を育もうと。


:-D

学科カテゴリー

学科トピックス一覧