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<社会福祉学科>朝日訴訟を学ぶ講演会が行われました(12/3)

2014年12月08日お知らせ

12月3日、社会福祉学科1年生の「低所得者に対する支援と生活保護制度」(武田英樹准教授)の授業の一環で、元津山市社会福祉事務所 山本節子氏の「朝日訴訟を学ぶ」講演会が行われました。

【朝日訴訟とは:1913年津山市で生まれた朝日茂さんは、肺結核を患い1942年に岡山県早島町の療養所に入院。厚生大臣の設定した生活扶助基準で定められた最高金額の月600円の日用品費の生活扶助と現物による全給付の給食付医療扶助とを受けていました。ところが、津山市社会福祉事務所が朝日茂さんの実兄に医療費の一部負担を命じたことにより、朝日さんは実兄より毎月1,500円の送金を受けることに。
これにより津山市社会福祉事務所長は、朝日さんの月額600円の生活扶助を打ち切り、1,500円の送金金額から日用品費(600円)を控除した残金900円を医療費の一部として負担させる旨の保護変更決定をしました。
この決定が岡山県知事に対する不服の申し立て及び厚生大臣に対する不服の申し立てにおいても是認されるにいたったため、朝日さんは、厚生大臣を被告として、600円の基準金額が生活保護法の規定する「健康で文化的な最低限度の生活を営む」には不十分だとして、同大臣の不服申立却下裁決の取り消しを求める旨の訴訟を提起しました。(当時の生活保護基準は、肌着なら2年に1枚しか購入できないほどの金額で、生活保護費が少なすぎて必要な栄養すら摂ることができませんでした。)この訴訟は1964年に朝日さんが死亡したことにより訴訟終了となりました。】

授業の写真授業の写真

 朝日茂さんが訴訟を起こした当時(昭和30年代頃)津山市社会福祉事務所で朝日さんへの生活保護費の支給などを担当されていた山本節子氏を講師としてお招きし、お話いただきました。
 朝日訴訟を経て、生活保護制度が国からの恩恵ではなく国民の権利であることが改めて確認され、国民の中で「人間らしさとは」「人間の尊厳とは」という議論の高まりが見られ、生活保護基準の引き上げや生活保護行政のあり方について改善が見られるようになりました。「人間裁判」とも言われたこの一連の「朝日訴訟」は、その後の日本の社会保障制度の在り方に大きな影響を与えています。山本さんは計12年間生活保護に関わり、たくさんの人に寄り添って来られました。“その12年間の中でも、朝日さんのこの訴訟が生きていく上での大きな方向付けをしてくれた。朝日さんのお陰で今日の社会保障制度がある”とお話されました。

 社会福祉学科1年 古谷さん(高知県須崎高校出身)は、「山本先生は当時のケースワーカーとして働いていたので、当時の苦難が伝わってきた」と話しました。今回学生たちが感じたことや得た知識は、将来いきいきとしたまちづくりの一助となることでしょう。

山本先生、貴重なお話をありがとうございました。