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社会福祉学科卒業生による講演「自閉症のある人を支援する」が行われました。

2013年06月24日お知らせ

社会福祉学科卒業生による講演「自閉症のある人を支援する」が行われました。


平成25年6月20日(木)、社会福祉学科の「障害者に対する支援と障害者自立支援制度I」(薬師寺明子准教授)の授業で「自閉症のある人を支援する −強度行動障害者の事例を通して−」と題した講演を実施しました。

講演会の写真講師としてお招きしたのは、社会福祉法人 横浜やまびこの里 東やまたレジデンス 支援員の松島祐治氏、本学福祉環境デザイン学科(H23年度より社会福祉学科に名称変更)の卒業生です。

「横浜やまびこの里東やまたレジデンス」は自閉症の人に特化した生活介護、施設入所支援などを行っており、松島さんは本学卒業後支援員として就職し、今年6年目を迎えました。
また、松島さんは平成24年度に厚生労働省助成事業 発達障害者支援者実地研修事業「強度行動障害研修」を担当。
自閉症支援施設への入所待ちが続いているという状況を踏まえ、横浜やまびこの里に入所されている方の支援だけでなく、世の中に理解と支援の輪が広がることを願い、幅広く活動しています。

この日講義室には社会福祉学科1〜4年生と児童学科希望者、教職員の約200人が参加しました。


自閉症のある人を支援する−強度行動障害者の事例を通して−


講演会の写真まずは松島さんより「横浜やまびこの里」の事業内容や特徴について説明。
続けて、自閉症の主な3つの症状(社会性の障害・コミュニケーションの障害・こだわりと想像力の障害)について、松島さんの経験談を交えながら説明いただきました。

ところでみなさんは日々を振り返り、“これって私だけ?”と思う行動はありませんか?

松島さんが学生に質問したところ、
・複数種類のチョコレートが同じように減っていかないと気持ちが悪い
・体を洗う順番が決まっている
・マヨネーズのケースがへこんでいると気になる
・本の上下を揃えないといけない …etc.

みなさん自分なりのルールがありました。
そのルールがかなわないときに生活に支障をきたす人が、自閉症の支援の対象となります。

講演会の写真次にワークとして、学生のみなさんに1枚の用紙に言われる通りの絵を描いてもらいました。
「ニンジン」
「みかん」 ここまではみなさん順調に描いています。

「きれい」
「ちょっと」 学生たちは何を描こうかしばらく悩み、星のマーク等を描いていました。

このような自分たちが絵に描けないような抽象的な表現は、自閉症の方にとって理解しがたいことなのです。

例えば自閉症の方に掃除機をかけてもらいたいとき、「きれいにしてね」と言っても伝わりにくいものです。
そこで松島さんは、部屋中に紙くずをばらまき、「紙くずを全部取ってね」と具体的に伝える等、ちょっとした工夫が必要だと話しました。

自閉症を含め、発達障害というのは、発達しない障害ではありません。ゆっくりなだけなのです。
「発達の仕方」「考える」「理解する」「感じる」部分に私たちと“違い”があるということなのです。


講演会の写真続けて、自閉症の人たちはどのような思いなのか、支援員はどのような視点と支援が必要なのか、ということを話されました。

学生たちは非常に熱心に聴き入り、講演後は学生や教員から「何歳ぐらいの方が多いのか?」「地域での暮らし・家庭支援はどのようにしているのか?」「利用者さんのその後はどうなっているのか?」等質問が相次ぎました。


松島さんの蒔いた種が大きな力になることを応援しています!


松島さんは在学中、今もなお幅広く活躍している“美作福祉部隊 リカイヒロメタインジャー”(「障がいがあってもええがん」をモットーに、地域における障がい者理解と支援の輪を広めるためのチーム)を結成し、在学中は勉強に部活にリカイヒロメタインジャーにと、さまざまなことにチャレンジしてきました。

また、その傍ら、“自分に合っている道は何か?”を探し続けました。
“出身地である高知県で就職したい”という思いと、“今帰ると一生高知にいることになる。若いうちに県外で特殊な取り組みを勉強したい”という思い。
本学での実習等を通して最終的に追いかけたのが「自閉症」だったそうです。

実際に就職して5年が経ちましたが、当初は受け身だった自分が、今ではさまざまな面で“発信”ができるようになり、また、自分のポジションを確認しながら仕事を進めることができるようになったそうです。
そして、利用者さんのつまづいている部分が掌握でき、その支援をすることでその人の生活がガラッと変わる。その人が自立してイキイキと生活できるようになるのを見ることが、大きなやりがいになっていると話しました。


講演中、松島さんは「自閉症支援をしているところはまだまだ少ない。今日蒔いた種がいつか力になることを願っている」と何度も話しました。

本学での講義だけでなくさまざまな研修で講師を担当し、自閉症の方と世界との橋渡しをしている松島さん。
それらで蒔いた種が数年後にきれいな花を咲かせることを、心から応援しています。

また、今年3月に卒業した山本くん(岡山県立岡山御津高校出身)も、本学の卒業生・在学生が集う「卒後セミナー」で松島さんに出会い、今年4月より松島さんと同じ道に進みました。
松島さん、山本さんのこれからの活躍を祈っています。

:-)