2月17日(火曜)、本学にて「第2回 暮らし×統計:暮らしの中の“危ない統計”」を開催しました。
本講座は、日常生活の中にあふれる統計や数値情報を正しく読み解く力を養うことを目的としています。
第1回の内容・様子は、こちらよりご覧いただけます。
講師は、昨年8月に実施した社会人教養講座に続き、本学で「調査と統計」「情報リテラシー」などを担当されている稲益智子先生です。
- 私たちは「関係を疑う」訓練を受けていない

講座の冒頭で示されたのは、少し意外な指摘でした。
私たちは計算の仕方や数値の扱い方は学んできましたが、「関係を疑う訓練」はあまり受けていない、というものです。
私たちの暮らしは、さまざまな関係の中で成り立っています。
気温が上がると電気代が増える、広告費が増えると売上が伸びる、収入が増えると幸福度が上がる・・・
しかし、これらは「関係がありそうだ」という相関を示しているに過ぎず、必ずしも原因と結果を示すものではありません。先生は、身近な例を挙げながら、相関と因果の違いをかみ砕いて説明されました。
- グラフや広告に潜む“見せ方のマジック”
続いて、統計の「見せ方」によって印象が大きく変わる例が紹介されました。
・長い期間のデータではなく一部だけを切り取って「増加傾向」「減少傾向」と強調するグラフ。
・専門用語を並べることで根拠があるように感じさせる広告。
・比較対象がはっきりしない大きな数値で納得感を生み出す表現。
・「今買わないと損をする」と焦らせる仕掛け。
私たちの身の回りには、このような情報があふれています。だからこそ、提示された内容をそのまま受け取るのではなく、「本当にそうだろうか」と一歩引いて見る姿勢が大切なのでは、と語られました。

- 数字の背景を知ることで、選択が変わる
講座では、がん保険や宝くじといった身近な題材も取り上げられました。
宝くじについては当選確率の話だけでなく、「宝くじは、いわば“夢の鑑賞券代”のようなもの」という先生の言葉が紹介されました。仕組みや確率を理解したうえで楽しむという視点は、数字との付き合い方を象徴する印象的な表現でした。
また、保険についても仕組みを知ったうえで選択することの大切さが示され、数字の背景を理解することで判断の仕方が変わることを実感する内容となりました。
- 数字の先にある「物語」に気づく
講座の最後に紹介された言葉が印象的でした。
「数字は正しくても、物語が正しいとは限らない。」
統計は客観的な情報ですが、その解釈や伝え方によって受け手の印象や感情は大きく左右されます。今後、統計データを見て心が揺さぶられる場面があったときには、今回学んだ視点を思い出し、少し距離を置いて考えてみてほしい、そんなメッセージで講座は締めくくられました。
日々目にする情報の見方が少し変わる、そんな気づきに満ちた講座となりました。参加者からは、「これからニュースや広告の見方が変わりそう」「数字の裏側を考える大切さに気づいた」といった声も聞かれ、暮らしの中で統計を活かす意義を改めて感じる機会となりました。
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