2025年度卒業式 学長式辞
2026年03月23日 お知らせ

2025年度 卒業証書・学位記、並びに修了証書授与式 式辞
本日、ここに、美作大学、美作大学短期大学部、並びに短期大学部専攻科の課程を修め、卒業・修了の日を迎えられた皆さんに、教職員一同を代表してお祝い申し上げます。また、今日まで卒業生を温かく支えてこられたご家族の皆様にも、心よりお慶び申し上げます。
本日の式典にあたりましては、津山市長 光井聡様、津山市議会議長 岡田康弘様をはじめ、地域を支える各方面から、公私共にご多忙の中、多数のご来賓の皆様にご臨席賜りました。皆様とともに門出を祝うことができますことに、深く感謝申し上げます。
さて、皆さんが本学の門を叩いた時期を少し振り返ってみたいと思います。生活科学部の皆さんは、2022年4月、まだ感染症対策の真っただ中での入学でした。この年の日常は、様々な活動制限が続き、もどかしい大学生活の始まりとなりました。
翌年、新型コロナウイルスが5類感染症に移行し、本学の緊急警報も解除されましたが、伝統の学生行事や学友会活動は2年間制限されており、以前の姿に戻すには、大変なエネルギーが必要でした。そして、その後は、学部生の皆さん、そして、新しく入学してきた短大生の皆さんが、ともに力を合わせ、新しい要素も加えつつ、この数年でキャンパスに「美作らしい活気ある日常」を粘り強く取り戻してくれました。そして、それを後輩たちにしっかりと引き継いで卒業していってくれます。
こうして卒業・修了していく皆さんは、これからどのような道を歩んでいくのでしょうか。皆さんが踏み出すこの世界は今、地政学的に不安定な状況が拡大するなど、大きな変化の中にあります。身近なところでは、生成AIをはじめとするデジタル技術が日々進化し、私たちの仕事や生活のあり方を大きく変える可能性が高まっています。生成AIは情報の整理、アプリケーションの作成、作業の自動化など、多くの場面で力を発揮しますが、こうした技術を正しく理解し、活用していく力は、これからの皆さんにとって大変重要です。
ただ、忘れてならないことがあります。皆さんの多くが就く管理栄養士、栄養士、教師、保育士、社会福祉士、介護福祉士といった仕事の本質は、その専門的知識や情報を活用することだけにはありません。目の前の一人ひとりの状態に気づき、その人の背景や思いをくみ取りながら、最もふさわしい関わり方を選び取っていくことにあります。
同じ言葉であっても、誰に、どのような状況で、どのような気持ちで伝えるかによって、その意味は大きく変わります。正論が問題を解決するとは限りません。そこには、データや知識だけではすくいきれない、人間の感情や関係性が深く関わっているからです。
アメリカのミュージシャン、フランク・ザッパの歌詞を借りれば、「情報は知識ではない。知識は知恵ではない。」そして「音楽こそが最高だ」というフレーズがあります。音楽のような芸術は、情報や知識で理解するものではなく、人間らしい感性によって感じるものです。同じように、人と信頼関係を築いていく営みにあっても、人間らしい感性がとても重要です。AIが出してくれる情報や知識だけではうまくいきません。感性を研ぎ澄まし、人の気持ちに寄り添ってこそ成り立つ、人間ならではの営みです。これは、どのような仕事であっても変わりません。
卒業は一つの区切りであるとともに新たな始まりです。これからも主体的な学びは続けてください。そして、さまざまなことをありのままに体験し、自らの感性を磨きつづけてください。その上で、生成AIなどの技術も活用できるようになれば、皆さんの力はさらに高まります。経験に裏打ちされた感性と、知識・技術の両方を備え、多角的に物事を見て人に寄り添える、そんな人材を目指してください。
最後に、本日は短期大学部の皆さんにとって、そして本学園にとっても、特別な意味を持つ節目の日であることに触れたいと思います。本学短期大学部は、時代の要請に応じた新たな段階へと進むため、2025年度からの募集停止という大きな決断を下しました。美作大学短期大学部の皆さんは、短大最後の卒業生となります。学科の垣根を越えて支え合い、こうして揃って卒業の日を迎えられた皆さんに、そして、短大の学生とともに歩んでくれた生活科学部の皆さんに対しても、私は学長として心からの敬意と感謝を捧げます。
壁にぶつかった時は、いつでも母校を思い出してください。皆さんが自分で決めた道は、すべて価値のある道です。自信を持って、歩みを進めてください。私たちはこの津山の地から、皆さんの活躍をいつも見守っています。いつでも相談に来てください。以上をもちまして、卒業生を送る式辞といたします。
2026年3月20日
美作大学・美作大学短期大学部
学長 桐生 和幸
