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福祉の分野

社会福祉学科

[社会福祉士養成課程]

福祉のまちづくり学科の授業に倉敷市役所 庄野さんを講師としてお招きしました。(12/6)

2011年12月08日社会福祉学科

倉敷市役所 庄野さん講演


12月6日(火)、福祉のまちづくり学科2・3年生の「障害者に対する支援と障害者自立支援制度II」・「就労支援サービス」(薬師寺明子准教授)の授業に、倉敷市 保健福祉局福祉部障がい福祉課 庄野ひとみさんを講師としてお招きし、講演いただきました。

庄野さん講演の写真庄野さんは小学校1年生の頃、ブランコの事故により車椅子に。
その後の支援学校や入所施設の生活、高校生活、大学受験、そして現在のお仕事についてお話いただきました。


支援学校と入所施設の生活


小学校1年生の頃ブランコの事故により車椅子の生活になった庄野さんは、わずか6歳で親元を離れ、支援学校及び施設へ入所。医療を受けながら勉強をする環境となりました。

ここでの生活は、幼い庄野さんにとって非常に過酷なものでした。
施設は6人部屋で、トイレやお風呂はカーテンで仕切られているだけ。
誤ってカーテンを開けられることもありました。

日光浴がしたい、風をあびたい、一人になりたい。
一人になると、「悪いことをするのでは?」と怒られる。「悪いこと」って何だろう…?

飲食制限やトイレの使用制限等の数多くのルール。
お茶ぐらい好きなときに飲ませてほしい。

そんな当たり前のことができないことへの苛立ちと、守られていないプライバシー、自由のない生活へのストレスで大泣きをしたこともありました。
でも、“なぜ泣いているのか?”が誰にもわかってもらえず、庄野さんは次第に自分の気持ちを表現しなくなっていったそうです。

人に優しくありたい。優しくできない。それはなぜか?…自分も優しくしてもらっていないから。
月に2回実家へ帰省し、家に帰ると家族や友達からたくさんの愛情をもらい、反省する。
でも施設に戻ると優しくできない。
そんな葛藤に悩まされたときもありました。

庄野さんは“ここは自分らしい生活が難しいところだから、自分を変えないことが自分を守る術”と考え、不平・不満より“仕方がない”と思うのが精一杯な日々を中学3年生まで過ごしました。


高校生活〜かけがえのない人々との出会い〜


庄野さん講演の写真高校は地元の県立高校に入学。
その高校は、入学までにスロープをつけたり、その他改修工事をして迎えてくれました。
ここで庄野さんは、かけがえのない友人、先生たちと出会います。

移動教室を手伝ってもらったり、使用教室をすべて1階にしてもらったり、修学旅行の部屋割りを調整してもらったり…先生や友人にはたくさん制限をかけたけど、みんな快く手を差し伸べてくれました。
そんなある日、学校行事でキャンプに行くことを知りました。
「私が行ったらみんなに迷惑をかけてしまう」…庄野さんは行くかどうかとても悩み、先生に相談しました。
すると先生は、「行けるかどうかではなく、行かなければならない。庄野さんが行くかどうかを決めることではない。」と言われたそうです。

その時庄野さんは、施設にいた頃は“特別扱いしないでほしい”と思っていたのに、施設を出ると“特別扱いしてほしい”と思っていた自分に気付き、とても衝撃を受けました。
手伝ってもらって当たり前、送ってもらって当たり前。
そんな自分の甘えに気付かされ、先生のお陰で「普通の社会で生きていける人」に変わることができました。

一見厳しく聞こえる先生の言葉には、皆と同じように生きていけることを願うたくさんの愛情が込められていたのです。

入学当初は障がいのない人たちの中に入っていくのはとても勇気がいりましたが、当たり前に生きていくことを教えてくださった先生や、いつも手伝ってくれて一緒に過ごして一緒に卒業してくれた友人たちのお陰で、“とても幸せな高校生活”を送ることができました。


岡山県の大学へ進学・一人暮らしの始まり


高校時代に「何をして社会人として生きていくか」を常々考えていた庄野さん。
夢は2つありました。
一つは『障がい者が当たり前に生活しているアメリカに行き、生活すること』―こちらはご両親の反対もあり断念。
もう一つは、“自分の気持ちがわかってもらえなかった”というご自身の経験から、『ソーシャルワーカーなどの障がい者の気持ちに寄り添う仕事に就くこと。』

「自分は本当に福祉に守られていたのだろうか?」
そんな疑問を持った庄野さんは、客観的に福祉を学ぶために、地元徳島県を離れ、岡山県の大学で福祉を学ぶことにしました。

そこで初めての一人暮らしがスタートします。
一人暮らしは思っていたより大変でした。
衣替えや窓拭き、トイレットペーパーのような大きなものを買って車椅子で持って帰ろうとすると前が見えなくなったり・・・
でも困っていると声をかけてくれる人がいる。お願いすると快く引き受けてくれる人がいる。
そんな優しい人たちに恵まれて、庄野さんも“人に優しくありたい”と思うようになりました。


倉敷市役所へ


現在庄野さんは、倉敷市 保健福祉局福祉部障がい福祉課で主に障がい者手帳発行にまつわる審査・等級決め・発行等の一連の業務を担当されています。

庄野さんもご両親のさまざまな思いがあり、障がい者手帳を取得したのは小学校5年生だったとのこと。

「同じようにさまざまな思いがあった上で手帳の取得に来られたお客様のために、“相手の立場に立ち、相手を思いやる”そんな福祉の根底の思いを持って、誠心誠意対応したい。そして、倉敷市役所はそれができる場所。倉敷という土地や人柄…私は倉敷を選んで間違いありませんでした。」
と話されました。


温かく見守ってくれる人がいるこの人生が、私は好き。


庄野さん講演の写真現在庄野さんは、仕事の休みを利用して毎年沖縄へ旅行しています。
沖縄の人たちはいつも「おかえり!」と迎えてくださり、とても温かい人たちばかり。
“みんなの気持ちがバリアフリー”という人柄を感じさせられ、沖縄という土地・人が大好きです。

庄野さんは、そんなたくさんの愛情に囲まれ、そして、たくさんの愛情を注ぎ、生活しています。

「手を差し伸べようと思う人がいてくれるだけで、私は生きていける。
温かく見守ってくれる人がいるこの人生が、私は好き。」

と締めくくりました。


講演を終えて


庄野さんの講演で、福祉の現状を理解するだけでなく、“大切なのは相手の状況を推し量り、思いやること。そして、“幸せ”とは自分の心が決めること”ということに気付かされました。

学生たちはメモを取りながら熱心に聞き入り、
「プライバシーが守られなかったり行きたい学校に行けなかったり…まだまだ世の中不便なことがたくさんあることを知りました。もっともっとみんなの気持ちも、そして社会も変わっていかなければならないと感じました。」(福祉のまちづくり学科3年 山本くん)
と話してくれました。

庄野さん講演の写真福祉のまちづくり学科の学生たちは、たとえどんな重い病気や障がい、生活問題を抱えても、住みなれた地域でいきいきと暮らしていけるよう、提案・実践できる社会福祉士をめざしています。

実習で施設を訪問することはあっても、日常の入所者の生活や本当の気持ちを知る機会はなく、学生たちにとって大変有意義な時間となりました。

貴重なお話をいただいた庄野さんに深く感謝申し上げますとともに、
福祉のまちづくり学科の学生たちが、今回得たことを心の糧とし、いきいきと暮らしていけるまちづくりの担い手として将来活躍することを願っています。

:-)

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