2024年12月21日(土曜)、12月22日(日曜)、2025年1月31日(金曜)の3日間にわたり、本学客員教授3名による地方創生論の講演会を開催しました。
この講演は、地方自治のスペシャリストである客員教授をゲストティーチャーとしてお招きし、一般教養科目『現代生活論』並びに美作地域人材育成プラットフォームの『地方創生論』連続講演を行っていただくものです。
- 日程:2024年12月21日(土曜)
- 講師:片山善博(かたやまよしひろ)氏 (オンライン講演)
- 略歴:前鳥取県知事(2期)、元総務大臣、大正大学教授・地域構想研究所長
- テーマ 「地方創生のこれまでをふりかえり、これからを考える」
- 日程:2024年12月22日(日曜)
- 講師:山田啓二(やまだけいじ)氏
- 略歴:前京都府知事(4期)、元全国知事会長(4期)、京都産業大学理事長・教授
- テーマ 「新しい生き方の時代の到来( 地方創生2.0 とは)」
山田氏は、世界的な危機的状況、戦争、災害、温暖化、国際問題などに触れ、特に深刻な課題として少子高齢化を挙げられました。人口減少、出生率の低下、空き家の増加、生活保護の増加など、社会の問題が複合的に進行している中、これらの危機を乗り越えるためには、地域創生においてもパラダイムチェンジが必要であると強調されました。
講演では、京都の再生事例を紹介し、人口減少を解決するためには、AIやロボットを活用した「スマート自治体」への転換が求められると述べられました。また、少子高齢化社会は単に人口の減少だけでなく、コミュニティの衰退や孤立した社会を生み出し、ソーシャルキャピタルの低下を招くと警鐘を鳴らしました。
個人が働き方や生き方を選ぶ時代ではなく、社会が人を適応させる時代が到来したと述べられ、従来の画一的な教育を見直し、子ども一人一人の個性や特徴に基づいたオーダーメイドの教育へ転換することが不可欠だと強調しました。
また、大学教育や地域の知の拠点としての役割も語り、大学は自治体や企業と協力し、地域を支えるプラットフォームとなるべきだと述べられました。
今回の講演は、地域創生の未来を見据えた教育や社会のあり方に対する新たな視点を提供し、参加者に深い考察を促す貴重な機会となりました。
- 日程:2025年1月31日(金曜)
- 講師:増田寬也(ますだひろや)氏 (オンライン講演)
- 略歴:前岩手県知事(3期)、元総務大臣、日本郵政(株)取締役兼代表執行役社長
- テーマ 「人口減少といかに向き合うか」
増田氏は、日本が直面する急速な人口減少の現状をデータとともに解説し、出生率の低迷や都市部への人口集中による「社会減」、さらには高齢化による「自然減」が、今後の日本社会に与える影響について言及されました。
講演では、地方創生の取り組みとして、地域の魅力向上や雇用の創出が不可欠であることが強調されました。デジタル技術の活用により生産性を向上させることや、女性や高齢者の活躍を促進すること、副業・兼業を推奨することで労働力を補完することなど、多様な視点からのアプローチが紹介されました。
また、地方都市の生活環境の改善も重要であり、雇用の創出や教育機関の充実が求められると述べられました。自治体や企業、大学が連携し、地方での暮らしや働き方をより魅力的にすることが鍵となると語られました。
最後に、増田氏は「若者や女性に選ばれる地方づくりが、日本社会の持続可能性を左右する」とし、参加者に対し、自らの地域でできることを考え、行動に移す重要性を訴えられました。
本講演は、地方の未来を考える上で、多くの示唆を与える貴重な機会となりました。